アメリカ生まれ、青森育ち。

こんにちは。
日本一甘い、種あり黒ぶどう栽培を目指して、挑戦を続けている、わかな農園の須藤です。
農園では、今年の大雪で倒れた支柱の修理の真っ最中です。秋の収穫に向けて良いぶどうを皆さんにお届けするための土台となる作業です。
今回は、スチューベンの歴史やルーツについてについてお話してみますね。
北緯41度がつなぐスチューベンの物語
みなさんは「スチューベン」というぶどうをご存じでしょうか?
一粒食べると、濃厚な甘さが口いっぱいに広がって、どこか懐かしいような、ほっとする味がします。
私たちわかな農園でも、このスチューベンを毎年丹精込めて育てています。
今回は、そんなスチューベンのちょっと面白いルーツや、なぜ青森で広まったのか、その背景をじっくりご紹介したいと思います。
スチューベンはアメリカ・ニューヨーク州生まれ
スチューベンの故郷は、なんとアメリカ。
1920年代、ニューヨーク州の農業試験場で開発された品種で、寒冷な気候に強く、糖度が高いぶどうとして生まれました。
名前の「スチューベン(Steuben)」は、アメリカ独立戦争で活躍したドイツ系将軍バロン・フォン・スチューベンにちなんで名づけられたそうです。
ちょっと歴史ロマンも感じますよね。
ニューヨーク州といっても、私たちがイメージするマンハッタンのような都会ではなく、りんごやぶどうの栽培が盛んな自然豊かな地域。そこで育ったスチューベンは、甘さとコク、そして独特の香りが特徴です。
北緯41度という“運命のライン”
では、なぜアメリカ生まれのスチューベンが、遠く離れた青森にやってきたのでしょうか?
その答えは「北緯41度」にあります。
実は、アメリカのニューヨーク州と青森県は、ほぼ同じ緯度に位置しているんです。
この緯度は、昼夜の長さや季節の移り変わり、寒暖の差といった“ぶどうにとって大事な条件”が似ていることを意味します。
そのため、スチューベンは青森の風土にもぴったり合い、力強く育つことができたのです。
青森で花開いたスチューベン
スチューベンが青森に導入されたのは1950年代。
当時、青森ではリンゴが主力の果物でしたが、ぶどうの可能性にも注目が集まっていた時代です。
寒さに強く、糖度の高いスチューベンは、まさにうってつけの存在。
特に津軽地方では、りんごと並んでぶどうの栽培が盛んになっていきました。
そして今では、青森県は全国でも有数のスチューベン産地。
実は、全国で栽培されているスチューベンの9割以上が青森産なんです。
「アメリカ生まれだけど、もうすっかり青森っ子」そんな風に感じます。
わかな農園のスチューベンづくり
私たち**わかな農園(青森県鶴田町)**では、スチューベンの栽培において「土づくり」を何より大切にしています。
除草剤は使わず、自然の循環を活かした畑づくりを実践。
「完熟した有機肥料(堆肥)」を土台として、元肥・追肥を時期ごとにまいています。
微生物が豊かな土をつくり、じっくりと栄養を根に届けてくれることで、ぶどうは健康に、そして甘く育ってくれます。
スチューベンはとてもデリケート。
葉の管理、日当たり、風通し…どれも手間がかかりますが、収穫期にはそのすべてが報われるような甘さになります。
最後に
スチューベンはただ甘いだけではありません。
育った土地の物語や、作る人の想い、そして北緯41度という見えないつながりまで、ぎゅっと詰まったぶどうです。
わかな農園では、スチューベンの収穫時期になると、地元のお客様を中心に、たくさんの方にお楽しみいただいてきました。
そして今年――
ついに、わかな農園のスチューベンをオンラインでお届けできるようになりました!
初めての通販で、私たちもちょっとドキドキしていますが、
「遠くの方にもこの甘さを届けたい」という気持ちを込めて、ひと房ひと房、心を込めてお送りします。